ビッグ・スリーが今ほど危機的な状況になることを誰しも想像していなかったほんの数年前、アメリカ最大のアフターマーケット・パーツ見本市『SEMA SHOW』を訪ねた。毎年秋にラスベガスの広大なコンベンション・センターで開催されているこのショーは、ちょうど40周年を迎え祝賀ムードに溢れていた。この記念すべきタイミングの特別企画として、メイン会場を中心に『CELEBRATING AMERICAN MUSCLE PAST-PRESENT-FUTURE』と銘打った新旧マッスルカーの展示が行われた。
初代のイメージを色濃く受け継いだ現行マスタングは既に発売されており、フォード社のブースをはじめ、それをベースにしたカスタムカーが多数展示され目を引く。GMやクライスラーも負けじと量産を前提にして作られた次期シボレー・カマロやダッジ・チャレンジャーの試作車を持ち込んでいた。今や皆さんご存知のように、この2台も旧き佳き時代の姿(をイメージさせるスタイル)を纏っての登場、まさにマッスルカー全盛期の再来を予感させるプレゼンテーションに、ワクワクしたのを今も覚えている。
もちろん特別企画のタイトル通り、過去の貴重なマッスルカーも多数展示され、ギャラリーの注目を集めていた。今回のイラストはその中の一台、1970年型のDODGE Challenger T/A。SCCA(Sports Car Club of America)が当時主催していたTrans-Amと呼ばれるレース・シリーズに参戦していたレース・カーだ。そもそも無駄だらけの大げさなスタイリングに加え、派手なボディーカラー、取って付けたように巨大なフロントのリップ・スポイラーなどがただ者でない雰囲気を醸し出す。新しいチャレンジャーも魅力的だけど、この時代のチャレンジャー、堪りません。
アメリカン・マッスルの、いやアメリカのビッグ・スリーの過去、現在、そして未来が輝かしいものであり続けますように!!!