千葉県は夷隅(いすみ)郡に私設消防自動車博物館がある。館長の鈴木靖幸さんとは、取材を通して数年前から親しくさせて頂いている。すでに10台以上の消防車両のコレクションを持っていた鈴木さんが昨年、長野県佐久市の消防団から譲り受けたのがこの三輪消防車。エンジンが不動のまま一度は博物館に展示されたが、動態保存を旨とする鈴木さんゆえ、そのままにはしておけない。運良く譲り受けることになったのは、昭和30年代に作られたトラック用の直6サイドバルブ、三輪消防車と同型のニッサンNC型エンジン。ドナーカーはこれまた貴重な自衛隊仕様のニッサン・キャリアー。保管していた倉庫の屋根が雪でつぶれ、フレームまで破損してしまったそう。このエンジンを東京・板橋のオートジャンクションで分解、バルブ一本が折れ、カムの修理も必要だったオリジナルと、ドナーエンジンのいいところを組み合わせて、一機のエンジンを組み上げた。完成したエンジンの搭載が完了し、ミッションなどの整備も終わったという。実は近々その走行シーンを拝見する予定。動画撮影も画策中なので、平成末期の東京を走る昭和の三輪消防車の勇姿をお目にかけることができるかもしれない。乞うご期待だ!