ボディー全体に錆びが浮き、使い込まれたいい雰囲気をもったこのクルマは、ひと世代前のニッサン・マーチ。小さな装甲車のようにも見えるのはバンパーやドアミラー、ドアハンドルまでボディーと同色のグリーンがかったブルーグレーにペイントされているから。しかし本来マーチの外装パーツの多くは樹脂でできているはず…。そう、このマーチは本当に錆びているわけではなく、錆びて見えるようにペイントされているのだ。近年、カスタムペイントの世界で秘かに注目を浴びている技法のひとつに『錆ペイント』がある。タミヤのプラモデル「ミリタリーミニチュアシリーズ」で戦車のウェザリング・ペイントにハマった世代として、またアメリカの片田舎で路傍に乗り捨てられたヤレた旧いクルマに何とも言えぬ魅力を感じてしまう「錆好き」としても、この仕上がりに強く惹かれてしまうのである。