ジープがタフな外観を維持しつつも現在のように快適な「乗用車」になった、その転換期に位置するのが1966年に誕生した「Jeepster Commando」だと言えるだろう。ご存知の通り、ジープは軍事用に開発された小型軽量で走破性の高い四輪駆動車。しかし戦後、一般ユーザーからのニーズにあわせて快適さを意識した4WD、例えばフォード・ブロンコやトヨタ・ランドクルーザーなどが登場、それに対するジープブランドからの解答が「Jeepster Commando」だった。
軍用ゆずりのタフな走行システムや、グリルの形状、フェンダーのプレスライン等にジープらしさを保ちながら、よりスポーティーにアレンジされたスタイルは、まさにSUV(スポーツ・ユーティリティー・ヴィークル)の祖と呼べるものだ。
イラストは70年代初頭に登場した「Jeepster Commando」の後継モデル。スタイルだけでなく名称も『Jeep Commando』と改められた。メッキグリルやフロントフェンダーの印象からジープらしさが薄まった感もあるが、現代のクルマにはない味わい深さをもった魅力的なクルマであることに変わりはない。