ホットロッドやチョッパーと呼ばれるカスタム・スタイル、もともとはチューニングしたホットなエンジンをぶち込んで、ストックの重く野暮ったい外観を大胆にチョップ(切断)し仕上げたことを語源としていると言う。エンジンはともかく、外観に関しては引き算(Subtraction)のカスタムなのだ。
イラストのバイクは東京のカスタムショップ、Black Chromeを主宰する松本悌一氏が自分の為に仕上げた一台。ベースは2005年のHarley-Davidson Sportster XL1200R。『SUPER RECORD』と名付けられたカスタムは、Bonnevilleのドライレークでスピードレコードに挑むなら、をコンセプトに作り上げたもの。野暮ったいフレーム形状などからモディファイが困難だと言われる高年式のスポーツスターを、ストックの良さも生かしながらどこまでシンプルで速そうに見せられるかがチャレンジテーマ。
もともとBonnevilleのスピードチャレンジは年に一度のホットロッダーの祭典としての要素が色濃く、参加するマシンは二輪も四輪も虚飾を排したホットロッド・テイストの外観を持つものが少なくない。
『SUPER RECORD』ではフェンダーを取り去り、タンクやシート、マフラー、ヘッドライトなどをコンパクトなものに換装。あえてマグラ社のセパハン、S&SのBキャブなど昔からの定番パーツをチョイスしたことも手伝って、クラシックレーサーを彷彿とさせる、まさに『引き算のカスタム』の好例となっている。これから更にエンジンにも手を加えて、本当にスピードレコードへの挑戦も夢ではないマシンに仕上げるとか。
着飾るかの如くの『足し算のカスタム』が当たり前の昨今、こんなカスタムが新鮮に思えるのは僕だけではないだろう。
協力:Black Chrome Bike Works(http://www.blackchrome.net)