仕事柄、イベントなどで旧いクルマを取材する機会が多い。昨今では80年代はもちろん、90年代製のクルマも旧車の領域に入っており、価格が高騰し始めている。リアルタイムでそれらに乗ってきた一人としては、ちょっと複雑な気分になったりもするが、旧いもの、すなわち『クラシック』あるいは『ヴィンテージ』が再評価されるというのは素晴らしいことだと思う。
アメリカンバイクの雄、ハーレーダビッドソンには他の乗り物よりも強く、「旧い方がエラい」というヒエラルキーが存在していると思っている。ゆえに最新のモデルに飽き足らずに旧いモデルに乗り換えるライダーも少なくない。必ずしもマニアでなくともだ。
この『ショベルヘッド』と呼ばれる往年のエンジンを搭載した80年代初頭のFLHTというモデルのオーナーも、現行車からわざわざ乗り換えて、旧車独特の乗り味を楽しんでいるというが、決してマニアではない。
そもそも僕は『旧車=マニアだけのもの』という考え方には賛同しない。年を経れば年式の幅が広がるのは当然で、旧車の定義だっていろいろだ。
欲しいと思って手に入れたのがたまたまクラシックだった、そんな気負わない旧車の楽しみ方もまた、いいものだ。