プリントを納めた古ぼけたアルバムを見つけた。写真屋で現像・プリントするともらえる安っぽいアルバムだ。「1989年・ロサンゼルス」と手書きした表紙をめくり、納められた20枚ほどの写真を眺めながら、しばしタイムトリップ…。
初めての渡米、僕は36枚のフィルムをポケットカメラに装填して、街角に立ち、またバスのウインドウ越しでも夢中でシャッターを切る。ガソリンスタンドやスーパーの看板、レンガ作りの建物。大きくて四角いシボレーカプリスベースのポリスカー、濃い赤にペイントされたボディーとクロームメッキのバンパーのコントラストが眩しいファイアエンジン。そしてロス市警のビル。映画やテレビ、それもアクション作品を中心にLAの景色に親しんで、この街に憧れているから、こんなものばかり撮っていた…。
ちょっと変色が始まったプリントを前に、空気感や気温なんかを思い出しながら、当時のLAの街角をイラストにしてみた。廃業したガソリンスタンドらしき場所を利用した中古車屋(またはジャンクヤード)。まったく華のない、うらぶれた風景もLAらしい。