"DUEL"=決闘と名付けられたスピルバーグ初期の作品は、テレビのスペシャルドラマとして1971年にアメリカで製作された、いわばロードムービー。たまたま追い抜いた大型トレーラーに執拗に終われ、命までも狙われるドライバーの恐怖を描いた作品で、邦題は『激突!』。メインキャストである追われる側のドライバーは、同時期にNHKで放映されていた「警部マックロード」で主演をつとめたデニス・ウィーバーだったこともあり、日本でも話題になった。
この映画の「もう一人」の主役であるトレーラーは、ピータービルトのトラクターヘッドをベースに作られた、ツヤがなく錆の浮いた、見るからに凶悪で恐ろしいタンクローリー。怖いが迫力たっぷりで、当時子供心に「アメリカのトレーラーってカッコいい!」と思ったものだ。
大人になってアメリカで出会った多くのトラックの走りはみなジェントル、そしてトラックドライバーたちも例外なく気のいい連中。どちらにしてもアメリカのトラックは「やっぱりカッコいい」のである。