「四駆」などと総称されるパジェロを代表格としたタフな外観のクルマがメインストリームだった時代がある。その後、ハリアーあたりのヒットがきっかけになって、乗用車のシャシーをベースにしたより快適なSUV、イマドキの言い方だと「クロスオーバー」の人気が高まり、今やすっかり定着した感がある。
モーターサイクルにおいても、BMWのアドベンチャーモデル、GS(ゲレンデ・シュポルト)の人気の高まりがきっかけになり、特にここ数年、大型の「クロスオーバー」モデルが世界的な人気となっている。BMWを頂点にパリダカにも出られてしまうようなタフなモデルも魅力的だが、「それっぽい雰囲気」をもったクロスオーバーも増えている。そもそも大型のモーターサイクルなどというものは、実用車ではなく趣味の乗り物、ゆえにシリアスとカジュアルの振れ幅がクルマよりはるかに大きいのが面白い。今回登場させたのはそのクロスオーバータイプの中でもカジュアル路線の最右翼と言えるホンダのNC700X。どれだけカジュアルかと言えば、まず同じフレームとエンジンを使ったビッグ・スクーターが存在する点。そして価格も海外のクロスオーバーモデルの半分~1/3というリーズナブルさなのだ。さすがホンダ、乗り心地もエンジン特性も文句の付けどころがない。欲を言えば、多くの外国車のように、もうちょっと味というか、クセがあってもいいのでは。でもこの作り、性能でこの価格(699,300円)は、かなり魅力的。やっぱり「さすがホンダ」なのである。