人気のミニバン、ホンダ・ステップワゴンには祖先と言える軽自動車が存在する。1972年に発表された356ccの小さなバン、ホンダ・ライフステップバンである。そしてその派生形として1973年に発表されたのがこのホンダ・ライフピックアップだ。
典型的な軽規格のトラック、いわゆる軽トラと比べればフロントエンジン・フロントドライブで、その分荷台が小さいことが実用性の点で弱みとなるが、ライフピックアップはそんな風に評価すべきクルマではないと僕は考える。遊び道具を積み込んで楽しく移動するアメリカンなスポーツトラックの縮小版と捉えれば、弱点は美点となる。
日本の風土が生んだ素晴らしいクルマ、軽自動車と、アメリカの遊び心が育んだスポーツトラック。その二つを融合したとてもホンダらしい、そして不世出の名車、それがこのライフピックアップなのである。